本格的なカメラを手にし写真表現の世界を知ったばかりの頃、よく意味も分からず 撮り歩いた。基礎知識や表現について改めて学ぶ事もなく無闇矢鱈に切り取った 風景は今見るとまるで老人の視線の様に虚ろ。対象に敢えて肉薄する事を避け、自らの 硬い殻を強調している様にも見える。ばらばらな家族の中で孤独を噛み締めるという作業 を文学とこの写真の世界で見出そうとしたのかもしれないが、表現の形に昇華するのは 容易でない事を自ら悟り、以後いわゆる自己表現という形式での写真は撮っていない。
風景 1973~1976